このページでは、トラックドライバーの労働災害を防ぐために不可欠な「荷役(にやく)作業時の安全教育」と、近年の法改正に伴う新たな義務について解説します。とくにテールゲートリフターの特別教育や昇降設備の設置要件など、実務で対応すべきポイントをまとめています。
トラック運送業における労働災害(死亡・死傷事故)のうち、交通事故(走行中)によるものよりも、荷台からの「墜落・転落」や、荷物の積み下ろし中の「転倒・挟まれ」といった荷役作業中の事故が多くを占める傾向にあります。
とくに、テールゲートリフターの操作ミスによる転落や、カゴ台車(ロールボックスパレット)の下敷きになる事故が深刻な課題となっており、現場でのルール徹底と継続的な安全教育が強く求められています。
こうした荷役作業中の労働災害を減少させるため、厚生労働省は労働安全衛生規則を改正し、トラック事業者に対する安全基準を強化しました※。主な改正のポイントと施行日は以下の通りです。
※参照元:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/content/001108427.pdf)
これまで最大積載量5トン以上のトラックに義務付けられていた「昇降設備の設置」が、最大積載量2トン以上のトラックにも義務化されました。荷台への安全な昇降を確保するため、ステップや踏み台の設置が必要です。
最大積載量2トン以上のトラック(※側面が構造上開放されているもの等)で荷役作業を行う際、墜落時保護用のヘルメットの着用が義務化されました。ここで注意したいのが、飛来・落下物用ではなく、必ず国家検定(型式検定)に合格した「墜落時保護用」の製品を使用する必要がある点です。規格外のものは法令違反となる可能性があるため選定時に確認してください。
テールゲートリフターを使用して荷役作業を行うすべての作業者に対し、事業者による「特別教育」の実施が義務化されました。対象となる「操作者」とは、稼働スイッチを押す人だけでなく、荷のキャスターストッパーを操作する人や、昇降板の開閉・格納を行う人も含まれるため、該当する業務を行う全員に受講させる必要があります。
法改正により、テールゲートリフターを扱う作業者は、事前に所定の特別教育を受講しなければなりません。この教育は、学科教育(4時間)と実技教育(2時間)の合計6時間で構成されています。
学科では、テールゲートリフターの構造や機能、取扱いに関する知識を学びます。また、荷役作業に伴う危険性や、労働安全衛生関連の法令についても理解を深める必要があります。
実技では、実際の車両(またはそれに準ずる設備)を用いて、テールゲートリフターの安全な操作方法や、異常時の対応、点検手順を指導します。
事業者は、特別教育を実施した際、受講者の氏名、科目、実施日時などを記録し、3年間保存する義務があります。未受講のまま操作させた場合や記録の保存を怠った場合、労働安全衛生法違反となる可能性があるため、確実な管理が求められます。
テールゲートリフター上での事故の多くは、カゴ台車(ロールボックスパレット)の逸走や転落が原因です。教育の中では、以下の安全手順を徹底させることが重要です。
リフターの操作は必ず平坦な場所で行い、カゴ台車をリフターに乗せた際は、キャスターのストッパー(輪止め)を確実にロックする習慣をつけさせます。
車両の傾きや路面の状況によってリフターが傾斜し、台車が急に走り出す危険性を理解させ、常に台車を支えられる姿勢で作業するよう指導します。
テールゲートリフターの特別教育や荷役作業の安全指導は、一度実施して終わりではなく、現場の日常的な作業手順として定着させることが重要です。しかし、多忙な中で管理者自身が法改正の最新情報を追跡し、全ドライバーの受講状況を管理し続けるのは容易ではありません。
こうした課題を解決し、法令に準拠した安全教育を漏れなく実施するためには、受講履歴の管理や最新の法改正に対応した教材が提供される、外部の教育サービスやeラーニングシステムの活用を検討するのもひとつの有効な手段です。
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