このページでは、運送会社の安全教育担当者向けに、形骸化(マンネリ化)しやすい「安全会議」の改善手法について解説します。一方的なお説教になりがちな会議を活性化させ、ドライバーの自発的な発言と安全意識を引き出す「褒める・加点方式」のミーティング術をまとめています。
多くの運送会社で行われている安全会議やKYT(危険予知トレーニング)は、管理者が前に立ち、「事故に気をつけろ」「速度を守れ」と一方的に訓示を垂れる形式になりがちです。毎回似たような事故事例を見せられ、注意されるだけの「減点主義」の会議では、ドライバーは下を向いて時間が過ぎるのを待つだけになりやすく、安全意識の向上には繋がりません。
「会議をもっと活バツにしたい」と思っても、社内には「上司と部下」「年下の運行管理者とベテランドライバー」といった複雑な人間関係が存在します。身内からの指導は「うるさい」「分かっている」と反発を招きやすく、結果として管理側も当たり当たり障りのないテキストの読み合わせだけで会議を終わらせてしまう、という悪循環に陥りやすいのです。
しかし、国土交通省が推進する「運輸安全マネジメント」の指針では、安全情報の伝達を一方通行にせず、現場から安全上の問題点や改善策を吸い上げる「双方向のコミュニケーション」の重要性が明確に示されています※。形骸化の打破は、法令遵守の観点からも真摯に取り組むべき課題と言えます。
※参照元:国土交通省「運輸安全マネジメント制度の概要」pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001211941.pdf
マンネリ化した安全会議を効果的に見直すには、指導のアプローチを見直していくことが有効な選択肢となります。
会議の主役を管理者からドライバーへ移します。たとえば、ドラレコ映像を見る際も管理者が答えを言うのではなく、「この場面、〇〇さんならどこに危険が潜んでいると思いますか?」と問いかけます。ドライバー自身に考えさせ、口に出して発言させる(アウトプットさせる)ことで当事者意識が芽生え、会議への参加姿勢が前向きに変容しやすくなります。
危険挙動だけでなく、デジタコやドラレコから「一般車に道を譲った」「交差点で丁寧な安全確認をしていた」といった模範的な運転シーンを抽出し、皆の前でその行動を承認し、具体的に褒めます。実際に、この「褒める指導」を主軸にした安全運転コミュニケーションを徹底した企業では、危険な運転挙動が著しく減少し、事故防止において高い成果を収めた事例も報告されています。プロとしてのプライドが満たされることで、「次も安全運転をしよう」というモチベーションが自然と高まります。
テキストの読み合わせを脱却するために、安全教育に「エンタメ性」を取り入れる工夫も有効です。ラジオ番組風の音声解説や、YouTuber風のポップな動画、クイズ形式でスマホから回答できる教材などを活用することで、夜勤やシフト制で時間がバラバラな現場であっても、荷待ち時間などの隙間時間を活用して飽きずに楽しく安全知識を吸収できるようになります。
「褒める指導が良いのは分かるが、自社だけでいきなり会議の空気を変えるのは難しい」と感じる運行管理者も多いでしょう。長年染みついた社風や人間関係の壁を突破するには、第三者の専門家(プロのコンサルタント)をミーティングに介在させることが有効な選択肢となります。
外部の専門スタッフがフラットな目線でドライバーと接し、「褒める文化」で明るく意見を引き出すことで、社内の雰囲気は前向きに活性化しやすくなります。各都道府県のトラック協会が実施している「安全教育訓練助成制度」などを上手く活用すれば、費用負担を抑えながら導入することも可能です。会議の準備や進行をアウトソースすることで、多忙な管理者の負担を効率的に減らしながら、実効性の高い安全教育を継続することが可能になります。
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