このページでは、トラックドライバーの法定12項目のひとつである「貨物の正しい積載方法」について詳しく解説しています。偏荷重や荷崩れがなぜ危険なのか、正しい積付け・固縛では何に注意すべきなのかなど、安全に貨物を運ぶために押さえておきたいポイントをまとめています。
「貨物の正しい積載方法」は、国土交通省が定めるドライバー教育の法定12項目のひとつです。指導監督指針では、道路法などの軸重に関するルールを理解するとともに、偏荷重が生じない貨物の積載方法や、運搬中に荷崩れを起こさない固縛方法を身につけることが求められています。
貨物の積み方が偏っていたり、固縛が不十分だったりすると、走行中に荷物が移動して車両のバランスが崩れるおそれがあります。特に、ブレーキやカーブなどで大きな力が加わると、車両の安定性に影響し、重大な事故につながる可能性があるため注意が必要です。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/kamotsu_sidou.pdf)
偏荷重とは、貨物の重量が前後・左右などに偏り、車両にかかる重量が均等ではない状態のことです。積付けや固縛が適切でない場合だけでなく、走行中に貨物が移動することによって発生する場合もあります。
貨物が左右どちらかに偏っていると、カーブや右左折、坂道などを走行した際に車体のバランスが崩れやすくなります。また、カーブでは遠心力が加わるため、偏荷重によって車体の傾きが大きくなり、横転の危険性が高まることがあります。
貨物が前方に偏っている状態では、下り坂や急ブレーキなどの際に車体へかかる負荷のバランスが変わり、安定した姿勢を保ちにくくなることがあります。積載時には単に荷台へ収めるだけでなく、前後の重量配分を考えて積み付けることが重要です。
後方に重量が偏っていると、ハンドル操作が不安定になったり、発進時や登坂時、踏切通過時などに車両前部が持ち上がりやすくなったりする危険があります。重量物を積載する際には、荷台全体の重心位置を意識した重量配分が必要です。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
貨物を積載する際は、車両の最大積載量だけを確認すればよいわけではありません。国土交通省の指導監督マニュアルでは、車軸や車輪にかかる重量についても確認し、重量を適切に配分することの重要性が示されています。
一般的な規定では、1本の車軸にかかる軸重は10t以下、1つの車輪にかかる輪荷重は5t以下とされています※。最大積載量の範囲内であっても、重量物を一か所に集中して積むと軸重などの基準を超える可能性があるため、荷物全体の重心や重量配分まで考慮することが重要です。
※車種等により特例があります。参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
安全に貨物を運ぶには、貨物の形状や重量に応じた積付けが必要です。国土交通省の指導監督マニュアルでは、貨物の荷扱い表示や形状、重量、重心位置などを考慮して積み付けることが重要とされています。
カートンや木箱などを積載する場合は、荷物に表示されている荷扱い指示やマークを確認し、それに従って積み付けます。
複数種類の貨物を積む場合は、軽いものの上に重いものを積み重ねないなど、貨物の重量を考慮した積付けが必要です。
鋭い角や突起のある貨物は、他の貨物に当たることで荷崩れや破損につながる可能性があります。貨物の形状を確認したうえで、安全な位置へ配置します。
機械類や鉄鋼製品、長尺物などの重量物は、荷台の中心や車両全体の重心を考え、一部に重量が集中しないよう積み付けることが重要です。
正しく積み付けても、走行中に貨物が動いてしまえば偏荷重や荷崩れにつながります。そのため、貨物の形状や重量に合わせて、ロープやワイヤーロープ、荷締機などを使い、貨物が前後・左右へ移動しないよう確実に固縛する必要があります。
建設機械などを積載する場合には、ワイヤーロープなどによる固縛に加え、ブレーキロックや歯止めの状態も確認します。また、転がりやすい貨物には歯止めやスタンションを使用するなど、貨物の性質に合わせた固定方法を選ぶことが大切です。
貨物と荷台のあおりとの間に大きな隙間があると、走行時の揺れや急ブレーキなどで貨物が移動しやすくなります。必要に応じて止め木などを使用し、貨物が動かない状態を作ることが重要です。
ロープやワイヤーロープ、荷締機などに損傷や不具合があると、十分な固定力を確保できません。固縛作業では器具の状態を確認するとともに、貨物の角などでロープが傷まないよう、当て物を使用するなどの対策も必要です。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
出発時に正しく積付け・固縛を行っていても、走行中の振動やカーブ、ブレーキなどによって貨物や固縛の状態が変化することがあります。そのため、積載後の確認だけで終わらせず、走行中も荷崩れを防ぐ運転と点検を行うことが重要です。
貨物には、車両が曲がろうとすると反対方向へ動こうとする力や、急ブレーキ時に前方へ移動しようとする力が加わります。荷崩れを防ぐためには、ハンドルをゆっくり操作し、十分な車間距離を確保して急ブレーキを避けるなど、余裕を持った運転が必要です。
国土交通省の指導監督マニュアルでは、走行途中で固縛状態を点検することも示されています。異音や車両の挙動などに違和感がある場合には、安全な場所に停車して確認することが大切です。
高速道路では走行速度が高く、貨物や固縛にかかる影響も大きくなります。荷台前部に隙間を作らない、必要に応じて補強材を使用するなど、積荷の移動を防ぐための対策を十分に行うことが重要です。
最大積載量を超えていなくても、荷物が一か所に集中していれば偏荷重や軸重超過につながる可能性があります。積載量だけでなく、荷台全体の重量配分を見ることが必要です。
走行中の振動や衝撃などによって、ロープや荷締機の張力が変化することがあります。出発時の確認だけでなく、走行途中でも必要に応じて固縛状態を点検することが大切です。
荷崩れによって貨物が移動すると車両の重心が変化し、ハンドル操作やブレーキ、カーブ走行などにも影響します。場合によっては横転などの重大事故につながるため、正しい積載は車両そのものの安全運行にも直結することを理解しておく必要があります。
「貨物の正しい積載方法」の教育では、積み方やロープの掛け方を覚えるだけでは十分とはいえません。偏荷重が車両の挙動にどのような影響を与えるのか、走行中に貨物へどのような力がかかるのかまで理解することで、積載作業と安全運転を結びつけて考えられるようにすることが重要です。
実際に扱う貨物の種類や車両によって適切な積付け・固縛方法は異なるため、自社で発生した荷崩れやヒヤリハットの事例なども活用しながら、現場に即した教育を継続していくことが求められます。
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