運転者の健康管理の重要性

目次

このページでは、トラックドライバーの法定12項目のひとつである「健康管理の重要性」について詳しく解説しています。

脳卒中や心臓病などの「健康起因事故」の実態と恐ろしさを理解させるとともに、事業者が法令に基づいて実施すべき定期健康診断やストレスチェックのルール、そして日常点呼における具体的な健康状態の確認方法についてまとめています。

法定12項目「健康管理の重要性」とは

「健康管理の重要性」は、国土交通省が定めるドライバー教育の法定12項目のひとつです。

指導監督指針では、疾病(病気)が突然の意識喪失などを引き起こし、重大な交通事故の要因となるおそれがあることを、具体的な事例を用いてドライバーに理解させることが求められています。

さらに、定期的な健康診断や、心理的な負担(ストレス)を把握するための検査結果に基づき、食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善を図り、心身の健康を自己管理することの重要性を徹底して指導することが義務付けられています。

※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)

恐ろしい「健康起因事故」の実態

健康起因事故とは、運転中にドライバーが脳卒中や心筋梗塞などを発症し、意識を失うことで発生する交通事故のことです。

国土交通省の「健康管理マニュアル」によると、運転中にこれらの疾患が発症すると、急激に人の意識や注意集中力が奪われます。結果として、ステアリングやブレーキの操作が一切行われないまま、高速で運動エネルギーを持った数トン〜数十トンのトラックが障害物や他車に激突するため、極めて甚大な被害をもたらします。

事故を引き起こす病気の「内訳」

国土交通省が報告を受けた健康起因事故(平成21年~24年の499件)の統計では、発生件数が多い順に「脳疾患(114件)」「心臓疾患(105件)」「めまい(24件)」「失神(21件)」となっています。

特に死亡した運転者(143名)の原因を見ると、脳疾患と心臓疾患だけで全体の約8割を占めています。具体的には、くも膜下出血や脳内出血、脳梗塞といった「脳血管疾患」が23%、心筋梗塞や心不全といった「心臓疾患」が21%を占めており、これらがトラックドライバーの命を奪う最大の要因となっています。

これらの疾患は「生活習慣病」とも呼ばれ、自分では気付かぬうちに進行している場合が多く、症状があらわれたときには突然死に至るケースも少なくありません。

※参照元:国土交通省pdf(https://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Unyu/news/181121-2.pdf)

日常点呼における「健康状態」の確認方法

こうした突然の病気による大事故を防ぐための最後の砦が、毎日の「乗務前点呼」です。運行管理者は、漫然と点呼を行うのではなく、マニュアルに沿った具体的な観察を行う必要があります。

至近距離での顔色・声色の確認

点呼は、アクリル板などを挟む場合でも、ドライバーを指定した至近距離(足型等で立ち位置を明示する)に立たせて行います。そして、必ず声を出させて、顔色・声色・表情・姿勢などを観察します。健康状態が悪い場合、声のハリやトーンに真っ先に兆候があらわれるためです。

絶対に見逃してはいけない「緊急の兆候」

点呼時や運行中の連絡において、ドライバーが以下のような症状を訴えた場合は、即座に乗務を中止(または車両を安全な場所に停止)させ、医療機関を受診させるなどの緊急対応が必要です。

  • 左胸、左肩から背中にかけての痛みや圧迫感
  • 息切れ、動悸、めまい
  • 顔の半分や片側の手足の麻痺・しびれ
  • ろれつが回らないなどの言語障害
  • モノが二重に見える、視野の半分が欠けるといった視覚障害
  • これまでに経験したことのないような強い頭痛

また、点呼場に携帯型の血圧計や体温計を常備し、平時の数値(ベースライン)と比較する運用も、体調不良の早期発見に非常に有効です。

健康診断とストレスチェックの「法定義務」

ドライバーの健康管理は個人の責任だけではありません。労働安全衛生法により、事業者には以下の健康管理措置が厳格に義務付けられています。

定期健康診断(一般健康診断)の実施義務

事業者は、常時使用するすべての労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施する義務があります(安衛法第66条)。

さらに、深夜帯(午後10時から午前5時)に常時従事する長距離ドライバーなどの場合は、「特定業務従事者健康診断」の対象となり、6ヶ月以内ごとに1回(つまり年2回)の受診が義務付けられています。

健診後の「医師の意見聴取」と就業上の措置

健康診断を受診させて終わりではありません。健診結果において「異常の所見」があると診断された労働者について、事業者は3ヶ月以内に医師の意見を聴かなければなりません。

そして、その意見を踏まえ、必要に応じて「労働時間の短縮」「深夜業の制限」「乗務の転換」といった就業上の措置を講じる法的義務があります。

ストレスチェック制度による心のケア

過労や人間関係による精神的な負担も、漫然運転や事故の引き金となります。労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回のストレスチェックの実施が義務付けられています。

なお、法改正により、令和10年(2028年)4月1日からは「労働者数50人未満の事業場」にもストレスチェックの実施が完全義務化されます。高ストレスと判定されたドライバーには医師による面接指導を行い、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが求められます。

安全教育で伝えるべき「生活習慣改善」のポイント

指導監督マニュアルでは、ドライバー自身が日頃から取り組むべき身体面・精神面の健康管理について、以下のように具体的に指導するよう示されています。

  • 休養の確保:余暇は心身の休養にあて、しっかりリフレッシュしてから運行に臨む。
  • 食生活と運動:不規則な勤務であっても、規則正しい食生活とバランスの良い栄養補給を心がけ、暴飲暴食を慎む。また適度な運動で心身を鍛える。
  • 睡眠の質の向上:夜更かしや睡眠不足は過労の最大の元凶であると認識し、十分な睡眠をとる。
  • 病気の早期発見:「自分は大丈夫」と過信せず、定期健康診断を必ず受診し、病気の兆候があれば早めに医師の診察を受ける。

会社は健康診断や点呼を通じてサポートし、ドライバーはプロとして自身の身体を自己管理する。この両輪が機能して初めて、健康起因事故を防ぎ、長く安全に働き続けることができます。

導入前にしっかりと比較を

当メディアでは、ベテランが多い、あるいは時間が不規則といった「現場の状況」に合わせた比較軸で各サービスを解説しています。自社が抱える事故リスクを解消するために、どの観点で比較すべきか。
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例えば・・・
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画像引用元:人と安全研究所公式HP
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