このページでは、トラックドライバーの法定12項目のひとつである「危険物を運搬する場合に留意すべき事項」について詳しく解説しています。危険物の種類や性状、運搬前に確認すべきこと、積載・運搬時の注意点、万が一漏えいや事故が発生した場合の対応などをまとめています。
「危険物を運搬する場合に留意すべき事項」は、国土交通省が定めるドライバー教育の法定12項目のひとつです。指導監督指針では、運搬する危険物の種類や性状を理解するとともに、運搬前の確認、取扱方法、積載方法、運搬方法について理解することが求められています。
また、運搬中に危険物が飛散・漏えいした場合には、安全を確保するために必要な対応を身につけておくことも重要です。危険物は種類によって危険性や適切な対処方法が異なるため、「危険物だからすべて同じ」と考えず、積荷ごとの性状と注意事項を事前に把握する必要があります。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/kamotsu_sidou.pdf)
トラック輸送で取り扱う危険物はひとつではありません。国土交通省の指導監督マニュアルでは、消防法上の危険物、高圧ガス、火薬、毒物・劇物などが挙げられています。それぞれ適用される法令や危険性が異なるため、まずは何を輸送するのかを正しく把握することが基本です。
消防法では、第1類から第6類までの危険物が定められています。酸化性固体、可燃性固体、自然発火性物質・禁水性物質、引火性液体、自己反応性物質、酸化性液体などがあり、それぞれ異なる危険性を持っていることを理解する必要があります。
高圧ガス保安法の対象となる液化ガス、可燃性ガス、毒性ガスなどがあります。漏えいした場合には火災や爆発、中毒などにつながる可能性があるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
火薬類取締法の対象となる火薬、爆薬、火工品などです。熱や火気、衝撃などによって危険が生じる可能性があり、定められた方法に従った運搬が求められます。
毒物及び劇物取締法の対象となる物質です。漏えいや飛散によって人体へ影響を与えるおそれがあるため、性状や緊急時の対応方法を確認しておく必要があります。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
危険物には、火がつきやすいものだけでなく、水との接触によって危険が生じるもの、熱や衝撃によって反応するもの、有害なガスを発生するものなどがあります。そのため、物質の性状によって注意すべきポイントや事故時の対処方法が変わることを理解しておかなければなりません。
禁水性物質の中には、水と接触することによって発火したり、可燃性ガスなどを発生させたりするものがあります。そのため、火災が発生したからといってすべての危険物に水を使って消火できるわけではありません。運搬する物質に適した消火方法を事前に確認しておくことが重要です。
危険物によっては、熱や火花、摩擦、衝撃などが火災・爆発につながる可能性があります。積み卸しや運搬の際には、危険物の性状を把握し、火気や衝撃など危険につながる要因を避けることが必要です。
通常の状態や加熱時、火災時、水との接触時などに有害なガスを発生する物質もあります。漏えいや事故が起きたときに不用意に近づかず、どのような危険があるのかを事前に確認しておくことが大切です。
危険物輸送では、出庫してから対応を考えるのではなく、運行前に積荷・車両・必要書類などを確認しておくことが重要です。必要となる資格や携行品、表示などは、運搬する物質の種類や数量、輸送形態によって異なります。
品名や数量を確認し、どの法令の対象となる物質なのか、どのような危険性があるのかを把握します。
輸送する危険物や輸送方法によっては、危険物取扱者免状や高圧ガスに関する資格・講習修了証などが必要になる場合があります。自社の輸送内容に応じて必要な資格や携行書類を事前に確認しておくことが必要です。
必要な消火設備、車輪止め、停止表示器材など、輸送する物質に応じて必要となる車両備品を確認します。
容器から漏れや飛散が生じるおそれがないか、貨物が走行中に動いたり転倒したりしない状態になっているかを確認します。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
消防法上の危険物を国内で運搬する場合には、消防法にもとづく運搬基準を守る必要があります。総務省消防庁では、「運搬容器」「積載方法」「運搬方法」の3つを基本的な基準として示しています。
消防法上の危険物は、物質の性状などに応じて、運搬容器の材質・構造・最大容積などについて基準が定められています。どのような容器でも使用できるわけではないため、運搬する危険物に適合した容器であることを確認する必要があります。
危険物の規制に関する政令では、危険物や危険物を収納した容器が著しく摩擦・動揺を起こさないよう運搬することが定められています。荷台で容器が移動したり転倒したりしないよう、適切な積付けと固定を行うことが重要です。
危険物の種類によっては、異なる類の危険物や高圧ガスなどとの混載について制限があります。物質同士が接触したときに危険な反応を起こす可能性もあるため、積載前に混載の可否を確認することが必要です。
※参照元:総務省消防庁「危険物運搬の概要」
消防法上の危険物については、その量の多少にかかわらず運搬基準に従う必要があります。そのうえで、指定数量以上の危険物を車両で運搬する場合には、標識の掲示や適応する消火設備の備付けなどが必要になります。
また、積み替えや休憩、故障などによって車両を一時停止するときには、安全な場所を選び、運搬している危険物の保安に注意することも定められています。
※参照元:e-Gov法令検索「危険物の規制に関する政令」
危険物輸送では、事故時に必要な情報をすぐに確認できるようにすることも重要です。国土交通省の指導監督マニュアルでは、危険物輸送時の資料として「イエローカード」を携行することが示されています。
イエローカードには、危険物の品名別の注意事項をはじめ、事故発生時の応急措置、緊急通報・連絡先、漏えい・飛散時や火災時の対処方法などが記載されています。事故が起きてから内容を初めて確認するのではなく、出発前に積荷の危険性と緊急時の対応を確認しておくことが大切です。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
危険物を積載した車両では、通常の貨物輸送以上に運行経路の確認が重要です。道路法では、道路管理者が水底トンネルなどについて、一定の危険物を積載した車両の通行を禁止・制限できることが定められています。
運行前には予定している経路に通行禁止・制限区間がないかを確認し、必要に応じて安全に通行できる別の経路を設定しておくことが必要です。
危険物輸送では、走行中だけでなく積み込み・荷卸し時にも事故が発生する可能性があります。特に石油類や高圧ガスなどの積卸場では、車両の停止位置や火気、静電気などに十分注意しなければなりません。
実際の作業では、運搬する物質や施設ごとに定められた手順を確認し、それに従って作業することが重要です。
危険物輸送中に事故が起きると、漏えいや飛散だけでなく、火災や爆発などへ被害が拡大するおそれがあります。そのため、運転者自身の安全を確保しながら、危険物の性状に応じた対応を行うことが重要です。
事故が発生した場合は、周囲へ事故を知らせるとともに、危険物の性状を確認し、安全な場所へ避難することを優先します。不用意に漏えいした物質へ近づいたり触れたりしないよう注意が必要です。
危険物が著しく漏れるなど災害が発生するおそれがある場合には、応急措置を講じるとともに、消防機関などの関係機関へ通報することが定められています。場所、積荷、事故の状況などを正確に伝えることが重要です。
消防・警察への通報と合わせて、営業所や荷主などへ事故の状況を連絡します。危険物ごとに適切な処置が異なるため、イエローカードなどの情報を確認しながら対応する必要があります。
※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)
タンクローリーで液体を運搬する場合は、危険物の性状だけでなく車両特性についても理解しておく必要があります。タンク内の液体は走行中に動くため、カーブでは外側へ、急ブレーキや急発進では前後へ移動し、車両の安定性に影響を与えることがあります。
また、タンクローリーは重心が高くなりやすく、横転にも注意が必要です。カーブや交差点では十分に減速し、急ハンドル・急ブレーキなどを避け、積荷の動きを意識した慎重な運転を行うことが重要です。
消防法上の危険物の運搬では、指定数量未満であっても運搬容器や積載方法などの基準を守る必要があります。指定数量以上になると、さらに標識や消火設備などに関する基準が加わります。
危険物は種類によって性状が異なり、水との接触が危険なものや、火気・衝撃に注意すべきものなどがあります。事故時にも同じ対応ができるとは限らないため、運搬する物質ごとの危険性と対処方法を確認することが必要です。
危険物輸送では、安全運転だけでなく、出発前の確認、適切な積載、必要な備品・書類の準備、積み卸し、運行経路、事故時の対応までが安全確保につながります。輸送の一連の流れを通して危険を防止する意識を持つことが大切です。
「危険物を運搬する場合に留意すべき事項」の教育では、法令や注意事項を暗記するだけでは十分とはいえません。自分が運搬する貨物にどのような危険性があり、漏えいや火災などが発生した場合にどのような行動を取るべきなのかを、具体的に理解することが重要です。
自社で実際に取り扱う危険物や輸送形態に合わせて、出庫前の確認事項や積卸し手順、緊急連絡先などを整理し、事故を起こさないための知識と、万が一の際に適切に行動できる力を身につける教育を行いましょう。
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