トラックドライバーが知っておきたい過積載の危険性

目次

このページでは、トラックドライバーの法定12項目のひとつである「過積載の危険性」について詳しく解説しています。過積載によって制動距離や車両の安定性にどのような影響が生じるのか、過積載を防ぐために運転者や事業者が何に注意すべきなのかをまとめています。

法定12項目「過積載の危険性」とは

「過積載の危険性」は、国土交通省が定めるドライバー教育の法定12項目のひとつです。指導監督指針では、過積載に起因する交通事故の事例などを通して、過積載がトラックの制動距離や安定性などに与える影響を理解させることが求められています。

また、過積載による運行を行った場合には、運転者だけでなく貨物自動車運送事業者や荷主にも処分などが及ぶ可能性があります。そのため、安全教育では「積みすぎると危険」という認識だけではなく、事故につながる仕組みや法令上の責任まで理解することが重要です。

※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/kamotsu_sidou.pdf)

そもそも過積載とは

トラックには、車両ごとに積載できる貨物の重量が定められています。この「最大積載量」を超えて貨物を積載した状態で運行することが過積載です。

最大積載量はすべてのトラックで同じではなく、車両総重量や車両重量などに応じて異なります。そのため、荷物の見た目や「これくらいなら積めるだろう」といった感覚で判断するのではなく、車検証などで自車の最大積載量を確認し、実際の貨物重量を把握したうえで積載することが必要です。

※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)

過積載が危険とされる理由

制動距離が長くなる

過積載になると車両が重くなるため、ブレーキをかけてから停止するまでの距離が長くなります。国土交通省の指導監督マニュアルに掲載されている10t車のデータでは、80km/hで走行した場合、定量の10t積載では制動距離が50.3mであるのに対し、14t積載では58.9m、18t積載では70.3mとなっています

つまり、同じ速度で走行していても、積載重量が増えるほどすぐに止まることが難しくなります。前方で急な停止や事故が発生した場合、通常の積載状態なら回避できた状況でも衝突につながる可能性が高まるため注意が必要です。

※掲載値は国土交通省「指導監督マニュアル【トラック】本編」に掲載されている(公社)全日本トラック協会の調査研究データによるものです。参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)

衝突したときの衝撃が
大きくなる

車両の重量が増えれば、衝突時に生じる衝撃も大きくなります。特に大型トラックはもともと車体が重いため、過積載の状態で事故を起こすと、相手車両や歩行者などに与える被害がより大きくなるおそれがあります。

過積載は事故が起こる可能性を高めるだけでなく、事故が発生した際の被害を拡大させる要因にもなることを理解しておく必要があります。

車両のバランスを崩しやすくなる

積載量が増えることで車両の重心が高くなったり、荷物の積み方によって重量バランスが悪くなったりすると、車両が不安定になりやすくなります。カーブや右左折時には遠心力の影響も受けるため、ふらつきや横転などにつながる危険性があります。

特に重量のある貨物を積載している場合は、過積載だけでなく偏荷重にも注意し、適切な重量配分で積載することが重要です。

下り坂ではブレーキへの
負担が大きくなる

重量が増えたトラックでは、下り坂などで速度が上がりやすく、減速するためにブレーキを使用する機会も増えます。ブレーキを使い続けることでブレーキライニングが過熱すると、ブレーキの効きが低下する「フェード現象」が発生するおそれがあります。

過積載の状態では車両を止めるためにより大きな力が必要となるため、通常の積載状態以上に、速度管理や適切なブレーキ操作が重要になります。

過積載は車両や道路にも
負担をかける

過積載による影響は、交通事故だけではありません。国土交通省の指導監督マニュアルでは、タイヤの摩耗や道路の路面へのダメージなど、社会に対する影響についても説明されています。

タイヤや車両への負担が増える

想定以上の重量を積載すると、タイヤをはじめとした車両の各部に大きな負担がかかります。タイヤの摩耗を進める要因となるほか、車両の安全性や耐久性にも影響を与える可能性があります。

道路にも大きな負担がかかる

重量の大きな車両が繰り返し走行すると、道路の路面にも大きな負荷がかかります。過積載は自社のトラックだけの問題ではなく、道路という社会インフラにも影響を及ぼす行為であることを認識する必要があります。

※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)

過積載をすると
どのような処分を受ける?

運転者には違反点数や
罰則が科される

過積載の状態でトラックを運転すると、道路交通法にもとづき、過積載の程度に応じて違反点数や反則金、罰金などの対象となります。過積載の程度が大きければ、より重い処分につながる可能性があります。

「荷主から頼まれた」「積み切らなければ仕事にならない」といった事情があったとしても、過積載運転そのものの危険性がなくなるわけではありません。運転者自身も最大積載量を確認し、過積載の状態で運転しないことが重要です。

警察から積荷を降ろすよう
命じられることもある

車両が過積載と認められた場合には、警察官による積載物の重量確認が行われ、状況に応じて過積載分の積荷を降ろす、ほかの車両へ積み替えるといった措置を命じられることがあります。

その場で積荷を降ろすことができない場合には、通行区間や経路などについて危険防止のための指示を受ける場合もあります。

運送事業者も行政処分の
対象になる

過積載運送は、運転者だけの問題ではありません。貨物自動車運送事業者についても行政処分の対象となり、国土交通省では初回の違反でも車両停止処分の対象としています。

さらに違反を繰り返した場合には車両停止期間の延長や輸送の安全確保命令などが行われ、悪質なケースでは事業許可の取消し等につながる可能性もあります。会社として過積載を防止する管理体制を整えることが重要です。

※参照元:国土交通省「行政処分の基準」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/baseline.html)

荷主にも過積載を要求しない
ことが求められる

道路交通法では、荷主などが運転者に対して過積載車両の運転を要求することは禁止されています。また、過積載になることを知りながら、制限を超える貨物を積載させるために貨物を引き渡すことなども禁止されています。

そのため、過積載防止はドライバーだけに任せるものではなく、運送会社・運行管理者・荷主など、輸送に関係するそれぞれの立場で取り組むべき課題です。

過積載を防ぐために
確認しておきたいポイント

  • 車両の最大積載量を確認する

    最大積載量は車両によって異なります。乗務する車両の車検証などを確認し、自分が運転するトラックにどれだけの貨物を積載できるのかを正しく把握しておくことが基本です。

  • 積載する貨物の重量を把握する

    荷物の外見だけで重量を判断せず、伝票や計量結果などを確認して実際の重量を把握します。複数の貨物を積載する場合には、合計重量にも注意が必要です。

  • 過積載になる場合はそのまま出発しない

    荷積みの段階で最大積載量を超えることが判明した場合には、そのまま運行せず、積荷の削減や別車両への積み替えなどを行う必要があります。

  • 運行管理者へ連絡する

    荷主から最大積載量を超える貨物の輸送を求められた場合など、運転者だけでは判断・調整が難しいときには、運行管理者などへ連絡して対応を確認することが重要です。

「頼まれたから仕方ない」で
過積載をしないことが大切

国土交通省の指導監督マニュアルでは、明らかに過積載であると判断できる場合には、運転者がはっきりと断る姿勢を持つことの重要性が示されています。また、荷積み場所で積載量を超える場合には、運行管理者などへ連絡するよう指導することとされています。

過積載を防止するには、運転者に「過積載は禁止」と伝えるだけではなく、過積載を求められたときに誰へ連絡し、どのように対応するのかまで社内で決めておくことが大切です。

※参照元:国土交通省pdf(https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/truck_honpen.pdf)

安全教育では過積載による
「車両の変化」を理解させる

「過積載の危険性」の教育では、最大積載量や罰則を暗記するだけでは十分とはいえません。過積載によって制動距離が長くなる、車両のバランスが崩れやすくなる、ブレーキへの負担が増えるなど、普段の運転がどのように危険な状態へ変化するのかを具体的に理解させることが重要です。

自社で発生した積載に関するヒヤリハットや事故事例なども活用しながら、過積載を発生させない判断と行動を身につけられるよう、継続的に安全教育を行っていきましょう。

導入前にしっかりと比較を

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