2025年4月の安全対策強化により、貨物軽自動車運送事業者(黒ナンバー)にも業務記録・事故記録の作成と保存が義務付けられました。これまで日報らしい日報をつけてこなかった個人事業主や小規模事業者にとっては、「何を」「どこまで」記録すればよいのか分かりにくい制度です。このページでは、業務記録・事故記録の記載事項と保存期間、実務上押さえておきたいポイントを整理します。
貨物軽自動車運送事業者に義務付けられている記録は、主に「業務記録」と「事故記録」の2種類です。あわせて、点呼の実施と運転者台帳の備え置きも義務とされています。一般貨物自動車運送事業者(緑ナンバー)のような事業実績報告書の提出までは原則求められていませんが、日々の業務記録と事故記録については、確実に作成・保存する体制が必要です。
※参照元:国土交通省「貨物軽自動車運送事業に対する今後の安全対策」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001758389.pdf)
業務記録は、1年間保存する義務があります。基本の記載事項は次のとおりです。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 業務の開始・終了・休憩 | 日時と地点 |
| 業務に従事した距離 | 走行距離 |
| 主な経過地点 | 経由した主な地点 |
さらに、次のケースに該当する場合は追加の記載が必要になります。
いわゆる「ちょっとした待機」や「軽い荷下ろし」程度であれば記載は不要ですが、荷待ちや付帯作業が常態化している取引先がある場合は、該当するかどうかを都度確認する習慣をつけておくと、記録漏れを防げます。
事故が発生した場合は、事故の概要・原因・再発防止対策を記載した事故記録を作成し、3年間保存する義務があります。業務記録よりも長い保存期間が設定されている点に注意しましょう。
また、死傷者を伴うなど一定規模以上の事故については、記録の保存とは別に、運輸支局を通じて国土交通大臣への事故報告が必要になる場合があります。「記録を残しておけば済む」軽微な事案なのか、「報告義務まで生じる」事案なのかを見極める視点も必要です。
一般貨物自動車運送事業者向けの資料では、長距離・夜間運行などの条件に該当する場合に「運行指示書」の作成が義務付けられていますが、貨物軽自動車運送事業者を対象とした資料において、運行指示書の作成を直接義務付ける記載は確認できませんでした。制度の詳細や自社の運行形態への当てはめについては、管轄の運輸支局に確認することをおすすめします。
個人事業主や少人数の軽貨物事業者にとって、日々の業務の合間に記録をつけ続けるのは負担になりがちです。国土交通省も、業務記録・事故記録を簡単に入力でき、改善基準告示の遵守状況もあわせて確認できるExcel形式の記録ツールの提供を予定しているとしており、まずはこうした公的な支援ツールの活用を検討するのも一つの方法です。
記録を続けるコツとしては、業務終了後すぐ、スマートフォンのメモやアプリにその日の開始・終了時刻と走行距離を打ち込むなど、日常の動線に組み込んでしまうことが挙げられます。月末にまとめて記録しようとすると、荷主都合の待機時間や荷役作業の有無といった細かい事実を思い出せなくなりやすいため、こまめな記録が結果的に手間を減らします。
また、業務記録・事故記録は、貨物軽自動車安全管理者が選任後に行う運行管理業務の土台にもなります。安全管理者講習で学ぶ内容と、日々の記録の付け方を連動させておくことで、監査や問い合わせがあった際にも慌てず対応できる体制が整います。
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